1988〜1990

水の瞬間沸騰技術を駆使した、新加工食品「スーパーボイル」の教訓。

水を沸騰させて食品を調理する「スーパーボイル」の開発はさまざまな貴重な教訓を残した。

日比野克彦デザインによるパッケージ
市販品のパッケージデザインは、ダンボール作品で注目を浴び、舞台美術やパブリックアートの分野でも活躍する日比野克彦氏が手がけた。

1989 (平成元) 年3月に一部の職域ルートで発売を開始した「スーパーボイル」は、水を瞬間的に沸騰させ、めんなどの食品を調理・煮炊きできる画期的な商品で、第3世代のインスタント食品として期待された。すでに、生石灰などの化学作用で酒やコーヒーを温める加温食品はあったが、金属系酸化物の酸化還元反応で100℃まで加熱する容器食品は初めてであった。

発表当初は大きな話題を集めたものの、1992年に販売を中止した。500円という高価格設定や容器重量が重くなりすぎること、やけどの危険性があることなどが理由だった。
「スーパーボイル」の開発と中止は、「どんな革新技術でも実用性が伴わなければ消費者に受け入れられない」という貴重な教訓を残した。

開発当初の「スーパーボイル」
「海鮮拉麺」「京風鍋やきうどん」「クリームビーフヌードル」の3種類があり、1個500円のメーカー希望小売価格で販売することに決まった。

スーパーボイルの全体構造

外容器…断熱布を巻いたスチール缶。
発熱部…金属系の発熱体。点火装置と断熱材からなる。
底 蓋…内側中央部にキー接続部があり、その中に小さなかぎ穴があいている。
内容物…めん、スープ、具材がセットされている。今後、いろいろな食品群が可能。

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