1998〜1999

カップめん容器の環境ホルモン問題、厚生省、環境庁が「健康への影響」を否定。

カップめん容器と環境ホルモンの関係が大きな話題になったが、日清食品中央研究所の研究・調査で、「健康への影響がない」ことが確認された。

1998 (平成10) 年5月、環境庁 (現・環境省) は、環境ホルモンに関する報告書『環境ホルモン戦略計画 (SPEED’98)』で、環境ホルモンの疑いがある物質をリストアップ。その中に、カップめん容器に使用している発泡スチロール (ポリスチレン) に含まれるスチレンダイマー、スチレントリマーがあった。消費者団体などからも、熱湯を注ぐと環境ホルモンが溶け出すカップめん容器があると指摘された。これに対して日本即席食品工業協会は、日清食品中央研究所での試験や、オランダの専門研究機関TNO (応用科学研究機構) による試験の結果から、「これら2つの物質に環境ホルモンとしての作用は認められない」と発表した。

同年10月15日、農林水産省で消費者団体からの請求に基づく「カップめん容器規格見直しに関する公聴会」が開かれ、公述人として、JAS規格の見直しを求める消費者団体と、見直す必要はないとする日清食品、日本即席食品工業会、日本スチレン工業会がそれぞれ意見を述べた。これをもとに農水省ではJAS規格の見直しは必要ないとの結論をまとめた。

一方、11月9日には厚生省 (現・厚生労働省) の「内分泌かく乱化学物質の影響に関する検討会」の中間報告で、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニールなどの合成樹脂について「健康を損なうという科学的な知見はなく、使用禁止などの措置を講じる必要はない」と結論づけた。
その後、2000年11月、環境庁はいわゆる環境ホルモンリストからスチレンダイマー、スチレントリマーを削除することを決定。カップめん容器の環境ホルモン疑惑は払拭された。

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