日清食品グループ

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社外取締役対談

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グローバルカンパニーとなるための課題や機会を可視化し、後押ししていく

日清食品ホールディングス株式会社
社外取締役(独立)

櫻庭 英悦

Profile

農林水産省に入省後、食料産業局長などの要職を歴任。退官後、大学農学部客員教授を務めるとともに、大学・産業界・金融界との産学連携について助言活動に従事。食の安全や原材料の市場環境、環境問題に深い知見を持つ。

日清食品ホールディングス株式会社
社外取締役(独立)

小笠原 由佳

Profile

政府系金融機関での国際融資業務、外資系コンサルティング会社での民間公益活動、独立行政法人での海外支援事業、一般財団法人でのインパクト投資活動などを経験。サステナビリティ経営に関する先進的かつ優れた見識を持つ。

社外取締役として果たす役割

櫻庭 私は農林水産省で長らく食品行政に関わっていましたが、CEOとのエピソードを一つ。人々の健康志向が高まっているなかで、安藤CEOと「食品の減塩を求める声が強まるのではないか」という議論をしたことがあります。その後、日清食品は「カップヌードル」の減塩商品を発売したのですが、そのスピード感には驚きました。きちんと世間の声や外部からの意見にアンテナを伸ばしているのだなと感心したのを覚えています。

小笠原 初めて取締役会に参加したときに、私も「積極的に外部の視点を取り入れよう」という経営姿勢を感じました。客観的な意見を聞いて、それを取り込もうとする柔軟さがあると思います。

櫻庭 そうした“柔軟性”と“スピード感”は、やはり日清食品グループの最大の良さだと考えます。さまざまな商品を次々と発売するといった戦略だけでなく、健康や環境といったサステナビリティ課題にも、いち早く取り組んでいます。それを可能にしているのが、創業家である安藤CEOと安藤COOの“決断の速さ”ではないでしょうか。その強みを引き出すことで企業経営をさらに成長させていくのが、私の社外取締役としての役割だと考えています。

小笠原 私は、インパクト投資の仕事に携わっていたときに、社外取締役の打診を受けました。「インパクト投資」とは、社会的・環境的な課題解決を目的とする投資のことです。似ている言葉でESGに配慮した企業に対する「ESG投資」が挙げられますが、インパクト投資は「経済的利益とともに、社会的・環境的に有益なインパクトをもたらす企業」に対する投資です。当時から、日清食品グループは「完全メシ」のように人の健康をより良くしていこうという社会的なインパクトを生み出していることは知っていました。経済的な利益と、社会的・環境的に有益なインパクトとのバランスを取っていくために少しでもお役に立てればと、社外取締役をお引き受けしました。
今後、日清食品グループが中長期的に利益を出し続けながら、サステナブルなビジネスも構築していくためには、社会や環境に対するインパクトを可視化し、定量化していくことが重要です。そのための提言も積極的にしています。

中長期成長戦略の進捗

小笠原 当社は、2021年度に始動した「中長期成長戦略 2030」に関して、今回3カ年の総括をし、目標の見直しなどをしました。とくに資本コストを意識した経営の実現が求められるなかで、ROE目標を従来の「長期的に10%」から「2030年までを目途に15%」に引き上げたことを評価しています。

櫻庭 そうですね。ただ、素案段階では目標値についてまだ手堅い印象があり、議論となりました。業界トップクラスの企業である以上、クリアするのを前提とした計画ではなく、野心的な計画を立てて、それを達成するためにさまざまなことに挑戦していくことが重要です。

小笠原 中長期的な成長に向けた目標を立てるという意味では、最近では「グループ全体としての企業ブランドの醸成」も取締役会の議論となっています。もちろん、日清食品グループの事業会社はマーケティングに長けていて、商品のブランディングの成功によって成長してきたといっても過言ではありません。「カップヌードル」のブランドはもちろん、「チキンラーメン」の「ひよこちゃん」もキャラクターとして確立しています。しかし、日清食品グループ全体の組織としてのブランドを見てみるとやや弱い印象を持っています。日清食品グループらしいクリエイティブ力で、そこも強化していくのが良いのではないでしょうか。

櫻庭 たしかに、事業会社を見ると「日清食品」はもちろん、「湖池屋」や「明星食品」など、会社名で商品が思い浮かびますが、日清食品グループ全体で見ると、イメージがぼんやりしてしまう印象があります。
現在も、日清食品グループのテーマに「Planetary Health」と「Human Well-being」を掲げて、多様な取り組みを進めていますが、ここでも対外的な発信に課題があると感じます。例えば、Planetary Health関連で言うと、「カップヌードル」の容器の主原料は紙ですが、いまだに発泡スチロールだと思っているお客さまがおり、せっかくの取り組みをうまく伝えられていないように見えます。また、森林破壊防止や生物の多様性や人権に配慮したRSPO認証のパーム油の使用を推進していることも、単に容器にロゴマークを入れる等だけでなく、もっと噛み砕いてお客さまに伝えていく必要があると思います。

小笠原 Human Well-being関連でも、一般社団法人 日本最適化栄養食協会の設立に日清食品も参画したこと等が、もっとお客さまに伝わると良いですね。

櫻庭 そうした取り組みは非常に重要だと思います。「食品業界が協働して、Well-beingに貢献しようじゃないか」という意気込みが、非常によく伝わる取り組みですから。

小笠原 社外取締役に就任してESG関連をつぶさに確認すると先進的な取り組みが多くて驚いています。ただ、外部からは「カップヌードル」などのプロダクトの印象の方が強くて、サステナビリティ経営が進んだ企業だというイメージが浸透していないのです。そこはもっと積極的に発信するべきだと意見をしています。

海外のガバナンス・人的資本強化の重要性

櫻庭 日清食品グループは、2023年度で見ると連結ベースの海外事業売上高比率が30%を超え、コア営業利益比率についても50%を上回るなど、海外事業が一気に成長しています。ただ、急激なスピードでグローバルカンパニーとして展開する過程で、仕組みづくりや人材育成が重要なテーマとなっています。

小笠原 企業としてのステージが上がってきて、海外でも稼げる企業へと変化していく過程で、いかにコーポレートの部分をトランスフォームさせるか。そこに課題を感じます。現在、「日清流Job型」という人事制度も始まっていますので、注目していきたいですね。

櫻庭 国内外の主要なグループ会社のトップから直接事業報告を受けていますが、どちらかといえばマーケットの話が多いですね。もう少しガバナンスに関しての議題を増やしていくべきだと感じます。

小笠原 海外事業の利益貢献度が急速に伸びているのはすばらしいことですが、海外における組織づくりが二の次になってはいけません。“成長痛”だと捉えて足元のさまざまな課題を見直して、海外人材の育成や採用を急ぐなど、ポジティブに対策を打っていかなければならない段階だと感じます。
また、現在、米国日清、メキシコ日清、インド日清は現地の方が社長ですが、他国は違います。市場規模の大きいインドネシアなど潜在力の高い国でも、日本人が社長を務めています。もちろん、まず各エリアでの売上や利益がしっかり出る体制をつくってから現地の社長にバトンタッチするという考えもありますが、ローカルマーケットを理解している人に任せてグローバリゼーションを推し進めるという考えもあります。

櫻庭 「人を育てる」というのは組織の主要なテーマで、ガバナンスやコンプライアンスにもつながっています。ですから、私たち社外取締役は、海外のガバナンスや人的資本などの取り組みにも、しっかり目を行き届かせていかないといけません。

ガバナンスの実効性評価

櫻庭 当社の取締役会は、社外取締役からの意見・提言は多い方だと思います。報告される事案のなかで「取り組みが弱いのでは」と感じる部分については、強化策の内容や進捗を逐一報告するようにお願いしています。

小笠原 女性の管理職比率についても、経営諮問委員会にて社外取締役の意見として提言しました。

櫻庭 女性管理職の比率が低い点は引き続き課題ですね。社内での昇格に限らず、外部からの採用も活用しながら、女性管理職比率を高めていく必要があると思います。一方でダイバーシティの観点では、この3 ~ 4年でかなり進めていると思います。

小笠原 ほかにも、さまざまな報告を受け、資料を見るときに、抜け落ちている視点はないかということを常に意識するようにしています。それが社外取締役の大事な役割だと考えているからです。

櫻庭 日清食品グループは取締役会の過半数が社外取締役で構成されているので、ガバナンスは効いていると考えます。もちろん、経営諮問委員会のメンバーに社内取締役が入っていることを疑問視する投資家の方がいらっしゃるのは認識していますが、委員長は独立社外取締役であり、過半数が独立社外取締役で構成されているので、現状の体制で制度上も特段問題ないと考えています。
CEOのスキルセットを含むサクセッションプランについては、経営諮問委員会にて定期的に議論しており、複数の候補者を立てて進行しております。また、役員・執行役員、事業会社社長、チーフオフィサー等主要ポストの後継者育成についても、経営人材プールの育成と拡充施策の報告を受けております。

小笠原 創業家がいる企業は、よりパーパスに思い入れがあって、明快だと感じます。ただ、可能性の話として独善的な経営判断に傾いたり、儲からない事業に固執したりといったケースはありえると思いますので、そうならないようモニタリングするのも、独立している私たち社外取締役の役割だと思っています。

今後の課題・期待すること

櫻庭 2023年度が終わった時点で中長期経営戦略の新たなKPIを設定しましたが、意外に早くクリアできるのではないかという見通しがあります。しかし、急激なスピードで成長を遂げてきたからこそ、現状で「足りない」と感じる部分や課題に対して客観的な意見を発信していこうと思います。
例えば、事業会社とホールディングスの関係性をもう一度振り返って、変更が必要なものについて積極的に話し合っていきたいと考えます。それによって、何か新しい成長の原動力が得られるかもしれません。

小笠原 たしかに事業会社とホールディングスの関係性はまだ固まり切っていないような気がします。日清食品ホールディングスとグループ各社がもつ共通の機能を統合すれば、もっと大きな力を生むと思いますし、もっと明確な形で社外にインパクトを与えられるんじゃないかと考えます。

櫻庭 まずは日清食品グループにとって一番親和性があって、取り組みやすい形態は何か、ということから考えていくのがいいかもしれません。ぜひ、議論を深めていきましょう。

小笠原 繰り返しになりますが、まずもってこのスピード感で成長しているという実績を出している点は評価できます。加えて、ESGやサステナビリティ関連分野も先進的な取り組みを進めています。そうした情報をもっと発信していくことで、プロダクトの良さだけではなく、コーポレートとしても社会に対して価値を生んでいるんだ、インパクトを与えているんだと、伝わればいいと思います。私たちも社外取締役として後押ししていきます。

VALUE REPORT
2024

WHO日清食品グループとは?[3.66KB]

  • グループ理念
  • 社会価値創造History
  • 日清食品グループの今
  • 日清食品グループの6つの資本
  • 日清食品グループのコアとなる強み

HOWどのように目指すのか?[9.79MB]

  • 価値創造プロセス
  • CSOメッセージ
  • CFOメッセージ
  • 成長戦略❶ 既存事業のキャッシュ創出力強化
    • 国内即席めん事業
    • 国内非即席めん事業
    • 海外事業
  • 成長戦略➋ EARTH FOOD CHALLENGE 2030
    • 気候変動問題へのチャレンジ
    • 資源の有効活用へのチャレンジ
  • 成長戦略❸ 新規事業の推進
    • 最適化栄養食のタッチポイント創出・拡大
    • 最適化栄養食の新たな価値創造
  • CHROインタビュー
  • 人的資本の強化
  • IRイベントレポート
  • コーポレートガバナンス
  • 取締役・監査役

データ  [1.63MB]

  • 財務サマリー
  • 非財務サマリー/主な外部評価
  • 即席めんの世界市場データ
  • 会社情報・株式情報
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