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2009.01.19 日清食品ホールディングス

お知らせ

「ふなずし」由来新規乳酸菌NLB163のコレステロール低下作用をヒト試験で確認

-コレステロール低下作用を持つ乳酸菌-「ふなずし」由来新規乳酸菌NLB163のコレステロール低下作用をヒト試験で確認

日清食品ホールディングス株式会社 (社長・CEO:安藤宏基) の食品安全研究所 (滋賀県草津市) は、当社保有のふなずし由来乳酸菌NLB163がヒトに対しコレステロール低下作用*1 を示すことをヒト試験で確認しました。本試験結果の内容を日本食品科学工学会誌 (2009年3月掲載予定) にて発表致します。
(本件は2006年6月19日に発表した、当社が発見したふなずし由来乳酸菌NLB163が、ヒトに対しても低下作用が有効であると確認できたため、発表するものです。)

*1 コレステロール低下作用
近年、心血管疾患や脳血管疾患の原因とされる動脈硬化症が、健康上の問題となっています。動脈硬化症の主要原因として高コレステロール、特に高LDL-コレステロール血症が問題視されており、これらの値を適度に制御することが望まれています。

研究の背景

最近、国内外で整腸作用、有害菌抑制、花粉症抑制、アトピー性皮膚炎抑制など、生理作用に特化した乳酸菌の機能性研究が盛んに行われています。当社では2006年6月に滋賀県特産の伝統的発酵食品「ふなずし」から分離した乳酸菌の中から、試験管内で強いコレステロール吸着および胆汁酸*2 吸着作用を有し、動物実験でコレステロール低下作用を示す「ラクトバチルス パラカゼイ (Lactobacillus paracasei) NLB163」を発見しました。今回はNLB163が、ヒトの血中コレステロール、特にLDL-コレステロール値 (悪玉コレステロール値) を低下できるかの検討を行いました。

*2 胆汁酸
コレステロールの消化吸収に不可欠な消化液である「胆汁」の主要成分で、コレステロールを材料として体内 (肝臓) で作られます。胆汁として腸管内に分泌された後、そのほとんどが体内に再吸収されます。吸着などにより腸管内から除かれると、コレステロール吸収抑制および体内からのコレステロール排泄が促進され、体内のコレステロールが低下します。

研究内容

臨床試験は「株式会社SOUKEN」および「芝パレスクリニック」と共同で実施しました。31〜56歳の血清コレステロール値が高めの被験者、男女30名 (血清総コレステロール値202〜268 mg/dL、LDL-コレステロール値121〜180 mg/dL) に、6週間のNLB163を配合したカプセル摂取による「プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験」*3 を実施しました。
被験者をNLB163摂取群 (15名) とプラセボ摂取群 (15名) に割付け、NLB163の凍結乾燥菌末100mg含有カプセル (NLB163カプセル) または不含カプセル (プラセボカプセル) を1日6カプセル、6週間摂取していただきました。摂取前後の血清脂質値、血液学検査値、血液生化学検査値及び体成分値を測定するとともに、自覚症状および医師所見より有害事象の有無を評価しました。
その結果、NLB163摂取群では摂取後の血清総コレステロール値 (血液中の総コレステロール値) およびLDL-コレステロール値が、摂取前に比べ各々9.4%、13.4%有意に減少しましたが、プラセボ摂取群ではこのような変化はみられませんでした。そして、NLB163摂取群のほとんどの被験者で総コレステロール値およびLDL-コレステロール値の低下が確認されました。さらに、NLB163カプセル摂取による副作用と考えられる検査値異常はみられず、有害事象も認められませんでした。
以上より、NLB163は血清コレステロール値が高めのヒトに対し、有効なコレステロール低下作用を有し、副作用を示さない機能性食品素材となる可能性が示されました。

*3 プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験
「被検品 (薬、食品)」の治療、改善効果を確認、証明するために、効果のない「プラセボ」を投与する臨床試験方法の一種です。被験者にも担当医師にも、被検品とプラセボの区別がつかないようにした上 (二重盲検法) で、被験者を被検品群とプラセボ群に無作為に分け、同時並行的に試験を進めます。医薬品の薬効確認で一般的に使われている試験方法です。

今後の予定

今回の研究成果をカプセル剤、錠剤、乳酸菌飲料等の食品として、共同で商品開発できる協力会社とともに乳酸菌ビジネス展開につなげていき、「食による健康」に貢献していきたいと考えています。
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