日清食品グループ

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2009.07.03 日清食品ホールディングス

お知らせ

中性脂肪の消化を阻害する新たな乳酸菌発見について

-ラクトバチルス ガセリ NLB365およびNLB367-中性脂肪の消化を阻害する新たな乳酸菌発見について

日清食品ホールディングス株式会社 (社長・CEO:安藤宏基) は、中性脂肪の吸収抑制作用が期待される「ラクトバチルス ガセリ NLB (*1) 365」および「NLB367」を新たに発見しました。この研究成果を2009年7月6日(月)、7日(火)開催の「日本乳酸菌学会2009年度大会」で発表します。

研究の背景

近年増加している肥満などの生活習慣病の予防には、生活習慣や食習慣の見直しが有効とされており、食品のもつ体調調節機能 (*2) に社会的な注目が集まっています。
食品安全研究所では、これまでも、この体調調節機能の研究の一環として、普段の食事で簡単にとれる発酵食品 (乳酸菌) の機能に注目し、コレステロール低下作用をもつ乳酸菌「NLB163」(*3) を発見するなどの成果をあげています。
一部の乳酸菌には肥満予防、改善効果があると一般に報告されていますが、その詳しい作用メカニズムは分かっていないのが現状です。そこで弊社では、乳酸菌のこの効果が、中性脂肪の吸収を抑制する作用に因ると考え、中性脂肪の消化酵素「膵 (すい) リパーゼ」(*4) に対する阻害作用を研究しました。

*1 NLB
Nissin Lactic Acid Bacteria の略。

*2 食品のもつ体調調節機能
食品の栄養 (1次機能)、味覚 (2次機能) に次ぐ、体調リズム調節、疾病の防止と回復などに係わる機能 (3次機能) を指します。

*3 乳酸菌「NLB163」の発見
滋賀県特産の伝統発酵食品「ふなずし」から分離した乳酸菌の中から、強いコレステロール低下作用を示すラクトバチルス パラカゼイNLB163を発見しました。本件は2006年6月19日のニュースリリースで発表済みです。
このコレステロール低下作用は動物実験の他、ヒト試験でも確認されています (2009年1月19日のニュースリリースで発表済みです)。

*4 膵リパーゼ
中性脂肪の消化吸収に関わる酵素で、膵臓で作られ、腸管内に分泌されます。

研究の成果

食品安全研究所 (滋賀県草津市) が所有する乳酸菌約250株を測定した結果、「NLB365」および「NLB367」という2つの『ラクトバチルス ガセリ』に属する乳酸菌が、膵リパーゼの活性を強く阻害 (*5) することを今回新たに発見しました。
これらの乳酸菌の活用により、食事由来の中性脂肪の消化を阻害することで、脂肪の吸収を抑制し、肥満予防、改善に寄与することが期待されます。

*5 測定方法
乳酸菌250株の凍結乾燥物を中性脂肪の一種である「トリオレイン」を乳化した後、ブタ由来の膵リパーゼ液と反応させ、トリオレインから消化、生成された脂肪酸の量を測定した結果、50%阻害濃度 (IC50:酵素活性を50%阻害するために必要な物質の濃度) は各々784μg/mLおよび745μg/mLとなり、膵リパーゼ活性に強い阻害作用を持つことが確認されました。

今後の予定

昨今、乳酸菌の機能性が明らかにされ、乳酸菌による健康維持への期待がこれまで以上に高まっています。また、発酵乳以外にも乳酸菌の機能性を訴求した健康補助食品、発酵野菜飲料など、様々な形態の加工食品が市場でみられるようになりました。
弊社では今回の研究成果を、乳酸菌を使ったビジネスにつなげるとともに、新たな事業として発展させ、「食による健康」に貢献する予定です。
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