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2001.10.19 日清食品

お知らせ

ご参考資料

「食中毒菌群の迅速一括検査法」開発の件について

 日清食品株式会社(社長:安藤宏基)は、このほど弊社中央研究所食品安全センターにおいて、食中毒菌の原因になる細菌群を一括して、しかも迅速に検査する方法を開発し、2001年10月19日(金)、大阪市で開かれる「第22回日本食品微生物学会学術総会」でその概要を発表することになりました。
 今回開発した方法は、大腸菌、サルモネラ菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌など、食中毒を発生させる代表的な菌群を、遺伝子解析によって一挙に検出するもので、従来、それぞれ1種類の菌検査に24〜48時間を要していましたが、弊社の開発した手法によって、複数菌群を一括して5〜7時間で検査が可能となり、大幅な時間短縮が実現します。
 これにより、チルド食品では菌検査中に商品がすでに店頭に並んでいたり、あるいは食べられているという事態もあり得ましたが、本検査法が採用されると、検査後出荷が可能となり、チルド食品の衛生、安全性が飛躍的に高まることになります。
 弊社では、「チルドめん」を生産販売しており、その品質管理のために細菌検査の研究を続けてまいりましたが、広く食品全般に応用できる可能性があるため、今回の学会発表となったものです。
 検査法についてはすでに特許出願中です。  
 検査キットは、宝酒造㈱との共同開発を予定しています。





 発表学会名 : 「第22回日本食品微生物学会学術総会」
 開 催 日 : 2001年10月18日(木)〜19日(金)
 発 表 日 : 2001年10月19日(金)
 会   場 : メルパルク大阪「メルパルクホール」





特許出願内容=「プライマーおよび食中毒細菌の検出方法」

 腸内細菌科の菌群に共通な遺伝子を増幅させて、菌を検出するPCR法(注)を用いる。PCR法による特定細菌の検査法はいくつか公知の方法があるが、細菌の種類ごとに専用のプライマーを用いて実施する。
 今回開発した方法は、大腸菌とサルモネラ菌を含む腸内細菌科の菌群(グラム陰性菌)と、セレウス菌を含むバチルス属、黄色ブドウ球菌を含むスタフィロコッカス属の菌群(グラム陽性菌)を対象とする細菌群を一挙に検査可能にするものである。
 最新の腸内細菌群測定用寒天プレートでは、検査判定に24〜48時間を要するが、本検査方法では前処理操作を含め数時間(5〜7時間)で判定が可能である。対象とした細菌群は、チルドめんに発生しやすい菌群を選択した。弊社では、チルドめんの検査後出荷を可能にする方法として、各生産工場で採用する予定である。
 検出用プライマーの設計では、リボゾーム遺伝子を選定し、特定細菌群以外の細菌、葉緑体、ミトコンドリア等とは相同性の低い遺伝子領域を選択することにより、特異性を確保し、検出感度を上げることに成功した。
 腸内細菌群の検査は、製品加工後の細菌の汚染状況を確認する方法としてEUを中心にして採用されてきている。
 日本の食品衛生法の規格基準では、大腸菌や大腸菌群に対する検査義務が規定されているが、腸内細菌群は、全ての大腸菌群に加え、非大腸菌群(サルモネラ、シラゲ、エルシニアなど)が含まれるため、腸内細菌群の検査は、大腸菌群の検査に比較して製品加工後の細菌汚染のより良い指標とされ、第一次評価として有用である。
 

(注)「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」とは、DNAポリメラーゼの反応を連続的、連鎖的に実行することにより、一セットのプライマー間に挟まれるDNA断片を特異的に増幅させる反応である。

(添付資料)学会発表内容の要旨 1枚

特許出願内容=「プライマーおよび食中毒細菌の検出方法」

 腸内細菌科の菌群に共通な遺伝子を増幅させて、菌を検出するPCR法(注)を用いる。PCR法による特定細菌の検査法はいくつか公知の方法があるが、細菌の種類ごとに専用のプライマーを用いて実施する。
 今回開発した方法は、大腸菌とサルモネラ菌を含む腸内細菌科の菌群(グラム陰性菌)と、セレウス菌を含むバチルス属、黄色ブドウ球菌を含むスタフィロコッカス属の菌群(グラム陽性菌)を対象とする細菌群を一挙に検査可能にするものである。
 最新の腸内細菌群測定用寒天プレートでは、検査判定に24〜48時間を要するが、本検査方法では前処理操作を含め数時間(5〜7時間)で判定が可能である。対象とした細菌群は、チルドめんに発生しやすい菌群を選択した。弊社では、チルドめんの検査後出荷を可能にする方法として、各生産工場で採用する予定である。
 検出用プライマーの設計では、リボゾーム遺伝子を選定し、特定細菌群以外の細菌、葉緑体、ミトコンドリア等とは相同性の低い遺伝子領域を選択することにより、特異性を確保し、検出感度を上げることに成功した。
 腸内細菌群の検査は、製品加工後の細菌の汚染状況を確認する方法としてEUを中心にして採用されてきている。
 日本の食品衛生法の規格基準では、大腸菌や大腸菌群に対する検査義務が規定されているが、腸内細菌群は、全ての大腸菌群に加え、非大腸菌群(サルモネラ、シラゲ、エルシニアなど)が含まれるため、腸内細菌群の検査は、大腸菌群の検査に比較して製品加工後の細菌汚染のより良い指標とされ、第一次評価として有用である。
 

(注)「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」とは、DNAポリメラーゼの反応を連続的、連鎖的に実行することにより、一セットのプライマー間に挟まれるDNA断片を特異的に増幅させる反応である。

(添付資料)学会発表内容の要旨 1枚

添付資料

チルドめんにおける特定細菌群の迅速検査法の検討(第一報)
船曳健一, 仲野 茂, 小林 徹, 田中政春, 長尾康博, 山田敏広
(日清食品㈱・中央研究所)
【目的】
食品の安全性に対する消費者の信頼感を確保するため、食品供給の各段階における品質保証が重要視されている。当社チルドめん事業においても消費者の強い品質志向を背景として、従来から厳格な細菌検査を実施している。しかし、従来法においては、1〜2日以上の検査時間を要するため、より迅速な特定細菌群の検査法を確立することが求められている。
検査現場において実施可能な検査法の導入を目的として、まず大腸菌とサルモネラ菌を含む腸内細菌科の菌群、セレウス菌を含むバチルス属、黄色ブドウ球菌を含むスタフィロコッカス属の菌群を対象とする一挙に検査可能な検査法を検討したので報告する。
【方法】
1.検出用プライマーの設計:検出用プライマーは、16S rRNA遺伝子をもとにデザインした。大腸菌とサルモネラ菌を含む腸内細菌科の菌群と特異的に反応するbroad-rangeプライマーとしてEntプライマーを、セレウス菌を含むバチルス属、並びに黄色ブドウ球菌を含むスタフィロコッカス属の菌群と特異的に反応するbroad-rangeプライマーとしてBSプライマーをそれぞれデザインした。デザインにあたり標的細菌群にのみ相同性が高く、一方で他の細菌や葉緑体・ミトコンドリアとは相同性の低い遺伝子領域を選択するようにした。
2.検出用プライマーの特異性:17属数十種の菌株及び数種の植物のゲノムDNAに対する各
  プライマーの反応性を調べた。
3.チルドめん試料における検出感度: 10%めん含有液体培地(ブレインハートインフュージョン培地にめんを10%(w/v)添加、破砕したもの)に大腸菌、サルモネラ菌、バチルス・セレウス菌、黄色ブドウ球菌の4菌株を、それぞれめん1gに対して10〜1,000cfuとなるように添加した。35℃で振盪培養後、適宜、培養液を採取し、キレックス法で調整したDNAに対する各プライマーの検出感度を調べた。
4.実地試験:チルドめん製品の10%含有液体培地を35℃で5〜7時間振盪培養後、キレック
 ス法にてDNAを調整し、標的細菌群の汚染度を分析した。
【結果と考察】
Entプライマーは、腸内細菌科の菌群のDNAと、BSプライマーは、バチルス属及びスタフィロコッカス属の菌群のDNAと、実施した範囲において、それぞれ特異的に反応した。
PCR前の増菌操作を6〜7時間実施した場合、標的細菌群の検出感度は試料1gに対して100〜1000cfuであった。

以上
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