日清食品グループ

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2004.07.05 日清食品

食品の安全について

食品に含まれる発がん性物質の新しい検査法を開発

-食品に含まれる発がん性物質の新しい検査法を開発-日清食品 食品安全研究所「遺伝子発現を指標としたヒト細胞変異原性試験法」を開発

 日清食品株式会社(社長:安藤宏基)の「食品安全研究所」(滋賀県草津市)は、遺伝子(DNA)の損傷を引き起こす「変異原性物質」を確認する方法として、ヒト細胞を用いた新たな検出方法を開発しました。これは食品に含まれる発がん性物質を調べる新しい試験法として開発したものです。その試験法の概要について、7月7日(水)、大阪市で開催される「第31回日本トキシコロジー学会」(大阪国際会議場、2004年7/6-7/8)で発表いたします。

 近年、食品着色料の「アカネ色素」や、食品の調理や加工過程で生成される「アクリルアミド」など、食品中に存在する「変異原性物質」が問題となりました。「変異原性物質」とは、細菌や哺乳動物の細胞の遺伝子に損傷を与え、その結果、突然変異を誘発するような物質で、「発がん性物質」の多くは変異原性物質であることが知られ、細胞のがん化は、遺伝子の機能変化・発現調節の異常等、DNAレベルでの反応が関与していると考えられています。そして、これらの変異原性物質を検出する既存の試験法としては、サルモネラ菌を用いた「エイムズ(Ames)試験」、「ウムテスト(umu-test)」など、微生物を使用しているため、その結果を単純にヒトに応用できない欠点がありました。また、哺乳類の細胞を使用した「染色体異常試験」、「遺伝子突然変異試験」、「コメット試験法」などは、操作性が煩雑であり長時間(数日)要するなどの問題点がありました。
 そこで弊社では、このような問題点を解決するため、「ヒト細胞を用いた簡便な変異原性試験法(ネスマジェットNESMAGET:Nissin Evaluation System for MAmmalian GEnoToxicity)」を独自に開発いたしました。この試験法は、①微生物で検出できなかった変異原性物質が検出できること。②顕微鏡観察などの煩雑な操作が必要でなく操作が簡便であること。③96穴プレートを使用するため、一度に最大96のサンプルが約一日で結果が得られる。などの特長を有しております。今回、82種類の化学物質について本試験を適用した結果、既知の変異原性物質は、ほとんど検出でき、微生物を用いた試験法では検出できなかったアクリルアミドも確認することができました。また、細胞株や経時変化などを検討した結果、本試験法は、食品成分、既存医薬品、新規医薬品開発の変異原性評価など、ヒトに対する変異原性を検出するためのファーストスクリーニングに適用可能であることが示唆されています。
 なお、検査法について特許出願中です。 

 弊社では、2001年には食中毒菌群の迅速一斉検査法、2002年には約300種類の残留農薬が一斉分析できる「NASRAC-300」、そして、最近では、38種類の残留動物用医薬品一斉分析法(NASVED-38)を開発、導入し、平素より「食品の安全と信頼」を重要課題とし様々な取り組みを進めてまいりました。今回のヒト細胞変異原性試験法(NESMAGET)についても、色素などの既存食品添加物、メーラード反応生成物、放射線照射由来化学物質、旨味素材製造中の副生成物、香料、異臭化合物など、原材料や食品の調理や加工工程時に生成する化学物質など食品中に存在する成分分析に適用して、弊社製品の更なる安全性の向上に取り組んでまいります。    
(注)NASVED(ナスベッド):Nissin's Analytical Systems for Veterinary Drugs
   NASRAC(ナスラック):Nissin's Analytical Systems for Residual Agricultural Chemicals

(ご参考)日清食品の食品の安全性に対する最近の取組み

日清食品では、食品の安全性の問題に対し、消費者の視点に立って品質管理体制を整えるために、「食品安全研究所」を新設し、約60名の専門スタッフで構成されております。
・ 2001年 農薬57種類が一度に分析できる「残留農薬の検査システム(NASRAC-57)」開発。    翌年、約300種類の農薬が一括に検査できる「NASRAC-300」を開発、導入。
・ 2001年 「食中毒菌群の迅速一括検査法」の開発・導入。
・ 2004年 「残留動物用医薬品の一斉分析法」の開発・導入
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