日清食品株式会社 食品開発部 食品開発室 NeoNatural応用開発G
2019年入社
須山 大輔
※社員の所属は取材当時のものです。
- THEME 01 -
誕生の経緯
食の未来を見据え挑戦する
プラントベース食品
近年世界では、人口増加や気候変動による食糧不足、乱獲による動物の絶滅危機などが問題視されています。その中で注目を集めているのが、植物性たんぱく質の活用(プラントベース食品)です。現在、日清食品では「Neo
Naturalグループ」が中心となってプラントベース食品の研究・開発を進めています。私がキャリア入社したのも、このプラントベース領域に強い関心があったからです。
これまでにNeo Naturalグループでは大豆たんぱくを使用した肉状の具材を開発しており、どん兵衛をはじめとする実際の商品の具材として取り入れられています。次にどんな食品を作るかを考えたとき、絶滅危惧種であり、日本における貴重な食文化の一つである「うなぎ」に着目したのです。
そうして「プラントベースうなぎ」第一弾を開発していったのですが、2023年に国際的な会議の場で「プラントベースうなぎ」を提供する機会をいただきました。提供が決まると同時に社内でもメディア戦略を練り、会議での提供を終えた2ヶ月後には「プラントベースうなぎ」のネット予約限定販売が実現しました。
これまでにNeo Naturalグループでは大豆たんぱくを使用した肉状の具材を開発しており、どん兵衛をはじめとする実際の商品の具材として取り入れられています。次にどんな食品を作るかを考えたとき、絶滅危惧種であり、日本における貴重な食文化の一つである「うなぎ」に着目したのです。
そうして「プラントベースうなぎ」第一弾を開発していったのですが、2023年に国際的な会議の場で「プラントベースうなぎ」を提供する機会をいただきました。提供が決まると同時に社内でもメディア戦略を練り、会議での提供を終えた2ヶ月後には「プラントベースうなぎ」のネット予約限定販売が実現しました。
- THEME 02 -
困難と、解決への道
食感、焦げ目、香ばしさ……
終わりなき“本物感”の追求
「プラントベースうなぎ」の存在意義は、「うなぎ同然のおいしさ」があるからこそ成り立ちます。しかし、その“本物感”の追求にはとても苦労しました。構想を始めた2019年から発売までには、実に4年もの歳月がかかっています。
まず本物のうなぎを解体して構造を把握し、味や食感を調べあげるところからスタートしました。そのこだわりはとどまることを知らず、本物のうなぎにある身や皮を含めた3層構造まで徹底的に模倣したのです。大変な挑戦でしたが、社内のナレッジや協力体制を実感する時間でもありました。例えば、うなぎの身を成型する金型の製造では、社内商品のカップなどの包材を開発する部署に協力を仰ぎました。その結果、本物のうなぎから3Dデータを収集することができ、金型の作成に大きく役立ちました。またフレーバーを開発する部署にも相談し、うなぎに限りなく近い風味を編み出すことにも成功しました。さらに、CEOをはじめとした経営層からも「焦げ目」や「香ばしさ」といったリアリティ面でたくさんのフィードバックを受け、試作を何度も何度も重ねました。
それぞれの領域のプロフェッショナルが持つ知見を集結させ、「プラントベースうなぎ」という新たな試みはスピード感を持って進められました。日清食品だからこそできたことだと感じています。
まず本物のうなぎを解体して構造を把握し、味や食感を調べあげるところからスタートしました。そのこだわりはとどまることを知らず、本物のうなぎにある身や皮を含めた3層構造まで徹底的に模倣したのです。大変な挑戦でしたが、社内のナレッジや協力体制を実感する時間でもありました。例えば、うなぎの身を成型する金型の製造では、社内商品のカップなどの包材を開発する部署に協力を仰ぎました。その結果、本物のうなぎから3Dデータを収集することができ、金型の作成に大きく役立ちました。またフレーバーを開発する部署にも相談し、うなぎに限りなく近い風味を編み出すことにも成功しました。さらに、CEOをはじめとした経営層からも「焦げ目」や「香ばしさ」といったリアリティ面でたくさんのフィードバックを受け、試作を何度も何度も重ねました。
それぞれの領域のプロフェッショナルが持つ知見を集結させ、「プラントベースうなぎ」という新たな試みはスピード感を持って進められました。日清食品だからこそできたことだと感じています。
- THEME 03 -
成功した理由
トライ&エラーを重ねた結果
消費者からも絶賛の声
社内の知見や経験を駆使した結果であるとともに、日清食品の持ち味であるチャレンジ精神も大きな後押しになってくれたと感じています。当社の行動規範である「日清10則」の一つに、「不可能に挑戦し、ブレークスルーせよ」という言葉があります。動物性原料を使用せずにうなぎを作り出すという前代未聞の挑戦でも、このマインドがあるから達成できたのではないでしょうか。
また月1回という頻度で経営陣と話し合ったり、その中で自分たちも思いきり提案できたり。高いスピード感と自由度でトライ&エラーを重ねられる環境も、当社ならではの強みだと実感しています。
こうして、満を持して発売した「プラントベースうなぎ」第一弾は、1000食限定のネット販売が予約スタートから1分足らずで完売しました。その1000食を手に入れた方々からも、SNSなどで「見映えも味わいも、想像以上だった」「プラントベースとは思えない」という嬉しい声が届いています。またこの取り組みは、社内表彰制度である「NISSIN CREATORS AWARD」でも賞を獲得できました。
また月1回という頻度で経営陣と話し合ったり、その中で自分たちも思いきり提案できたり。高いスピード感と自由度でトライ&エラーを重ねられる環境も、当社ならではの強みだと実感しています。
こうして、満を持して発売した「プラントベースうなぎ」第一弾は、1000食限定のネット販売が予約スタートから1分足らずで完売しました。その1000食を手に入れた方々からも、SNSなどで「見映えも味わいも、想像以上だった」「プラントベースとは思えない」という嬉しい声が届いています。またこの取り組みは、社内表彰制度である「NISSIN CREATORS AWARD」でも賞を獲得できました。
- THEME 04 -
「プラントベースうなぎ」は、
人類をどうHAPPYにできるか
世界の食の課題を解決し、
「食足世平」を叶えたい
プラントベース分野に取り組みはじめた経緯を考えれば、「社会課題を解決し、世の中をHAPPYにすることが最大の目標」と言っても過言ではありません。
まず、「プラントベースうなぎ」をはじめとした植物性たんぱく質食品が広く普及すれば、みなさんが食の未来を考える大きなきっかけとなるのではないでしょうか。その先で、食糧危機や絶滅危機の解決に一歩でも近づくと信じています。
また当社の創業者精神の一つに、「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」という考えがあります。まだまだ紛争が絶えない世の中ですが、平穏な世界への足掛かりになることも私たちの役目だと捉えています。
しかしまだまだ当社のプラントベース事業は発展途上の段階で、現状に甘えずブラッシュアップし続けなければなりません。2021年、当社は東京栄養サミット2021にて、「2030年までに、日清食品における即席麺具材「植物性たんぱく質」の国内使用量を年間1100トンに引き上げ、代替肉の活用を進め、持続可能な食料システムの構築へ貢献します」と宣言しました。まずはこの実現に向けて、開発の手を緩めずに突き進んでいきます。
まず、「プラントベースうなぎ」をはじめとした植物性たんぱく質食品が広く普及すれば、みなさんが食の未来を考える大きなきっかけとなるのではないでしょうか。その先で、食糧危機や絶滅危機の解決に一歩でも近づくと信じています。
また当社の創業者精神の一つに、「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」という考えがあります。まだまだ紛争が絶えない世の中ですが、平穏な世界への足掛かりになることも私たちの役目だと捉えています。
しかしまだまだ当社のプラントベース事業は発展途上の段階で、現状に甘えずブラッシュアップし続けなければなりません。2021年、当社は東京栄養サミット2021にて、「2030年までに、日清食品における即席麺具材「植物性たんぱく質」の国内使用量を年間1100トンに引き上げ、代替肉の活用を進め、持続可能な食料システムの構築へ貢献します」と宣言しました。まずはこの実現に向けて、開発の手を緩めずに突き進んでいきます。
- THEME 05 -
今後の展開
培った技術をもとに、
日清食品の成長を後押しする存在へ
2023年に第一弾の「プラントベースうなぎ」を発売し、確かな手ごたえを感じました。ですが、さらに一段も二段も上を目指していきます。そのために、まずは“さらなる本物感”の追求を続けていきます。また市場調査にもっと力を入れ、求められている味わいや価格帯、生産数などを見極め、「プラントベースうなぎ」をどんな存在にしていくかという点も考えていかなければなりません。
今後はこの商品の開発で培った経験や技術を、他のプラントベース食品の開発にも応用していくつもりです。例えばカップ麺で使われる卵やエビの代わりとなるような食品や、牛肉のリアルな繊維を感じるような塊の肉など……。こういったものが作り出せないかと現在構想しているところです。
そして、私たちの技術をプラントベース食品だけにとどめておくつもりはありません。当社が何十年もかけて積み上げたノウハウを使って、「プラントベースうなぎ」は生まれました。今度はこの商品を、会社やグループの事業成長のヒントとなるような存在にしたいと考えています。
今後はこの商品の開発で培った経験や技術を、他のプラントベース食品の開発にも応用していくつもりです。例えばカップ麺で使われる卵やエビの代わりとなるような食品や、牛肉のリアルな繊維を感じるような塊の肉など……。こういったものが作り出せないかと現在構想しているところです。
そして、私たちの技術をプラントベース食品だけにとどめておくつもりはありません。当社が何十年もかけて積み上げたノウハウを使って、「プラントベースうなぎ」は生まれました。今度はこの商品を、会社やグループの事業成長のヒントとなるような存在にしたいと考えています。