
日清食品ホールディングス株式会社 健康科学研究部 2019年入社
三根 健太郎
※社員の所属は取材当時のものです。
- THEME 01 -
入社の決め手と、
現在の仕事

インターンで経験した
ものづくり体験に魅了された
大学時代は主に水産食品に含まれる酵素に関する基礎研究に没頭し、将来は食品に関する基礎研究のスペシャリストになりたいと考えていました。日清食品に入社を決めた理由は、さまざまな会社のインターンに参加するなかで、日清食品が一番面白かったからです。学生がチームに分かれてグループワークを行ったのですが、ヒットする商品をただ頭で考えるだけでなく、実際に研究所に入って麺やスープ、パッケージまでつくり、最後に試食して評価をもらう。その一貫した開発体験がとても楽しくて、この会社で働きたいと感じました。ちなみにそのとき、私のチームの成績は2位。「今度はもっといいものをつくりたい」と湧き出た負けず嫌いの気持ちも、志望動機の一つかもしれません。
入社後は、培養肉などの最先端フードテックや乳酸菌・食物繊維などの機能性素材の基礎研究から製品開発までを行う、健康科学研究部に配属されました。私たちのミッションは、未来を見据えた基礎研究を行うなかで革新的な技術を開発し、会社の新しい商品の柱をつくっていくこと。入社後すぐ課された研究テーマは、即席麺に欠かせない植物油「パーム油」の代替素材をつくることでした。私は昔から「誰もやったことのないことをやりたい、未知の物事を自分の手で明らかにしたい」という思いが強く、未来の資源調達に関わる大きな研究テーマに強いモチベーションを感じています。
入社後は、培養肉などの最先端フードテックや乳酸菌・食物繊維などの機能性素材の基礎研究から製品開発までを行う、健康科学研究部に配属されました。私たちのミッションは、未来を見据えた基礎研究を行うなかで革新的な技術を開発し、会社の新しい商品の柱をつくっていくこと。入社後すぐ課された研究テーマは、即席麺に欠かせない植物油「パーム油」の代替素材をつくることでした。私は昔から「誰もやったことのないことをやりたい、未知の物事を自分の手で明らかにしたい」という思いが強く、未来の資源調達に関わる大きな研究テーマに強いモチベーションを感じています。

- THEME 02 -
日々の挑戦
即席麺の主原料「パーム油」の
代替油を”酵母”を使って開発する
日本の油脂資源の自給率は低く、今後世界的な需要拡大が見込まれるなかで、その確保が課題になっています。持続的な製品を生産するために、私が取り組んでいるのは、”油脂酵母”を使って代替パーム油を開発すること。油脂酵母は細胞のなかに油を溜め込む性質があるのですが、油の組成がパーム油と非常によく似ており、タンクを使って限られたスペースで培養することができます。実用化できれば、国内で安定的に油脂を生産できるため、次世代の持続可能な油脂資源として期待されています。
私は入社するまでほとんど微生物を扱ったことがなかったのですが、相手は生物ということもあり、気温などの条件によって機嫌が変わることも面白さの一つ。想定外のことも起こりますが、続けるなかで機嫌をコントロールするスキルも磨かれました。また研究は大学や国の研究機関などと共同で行う機会も多く、頻繁に進捗共有やディスカッション、技術習得を行っています。2021年には共同研究先の大学に1年間出向して、油脂酵母の最先端技術を学び、研究所に持ち帰りました。部内でのディスカッションも活発で、多角的な視点に触れて研究のヒントを得ることも。こうした社内外との関わりのなかで、着実に研究が前進していると感じます。
2024年からはサブテーマとして、生理活性を持つペプチドの研究をスタートしました。この研究は、ペプチドの機能を解明し、生体に機能的に働くペプチドを開発するものです。酵母と並行し、実用化に向けて日々研究を進めています。
私は入社するまでほとんど微生物を扱ったことがなかったのですが、相手は生物ということもあり、気温などの条件によって機嫌が変わることも面白さの一つ。想定外のことも起こりますが、続けるなかで機嫌をコントロールするスキルも磨かれました。また研究は大学や国の研究機関などと共同で行う機会も多く、頻繁に進捗共有やディスカッション、技術習得を行っています。2021年には共同研究先の大学に1年間出向して、油脂酵母の最先端技術を学び、研究所に持ち帰りました。部内でのディスカッションも活発で、多角的な視点に触れて研究のヒントを得ることも。こうした社内外との関わりのなかで、着実に研究が前進していると感じます。
2024年からはサブテーマとして、生理活性を持つペプチドの研究をスタートしました。この研究は、ペプチドの機能を解明し、生体に機能的に働くペプチドを開発するものです。酵母と並行し、実用化に向けて日々研究を進めています。
- THEME 03 -
成功体験
世界初、酵母由来の油を使った
油揚げ麺づくりに成功
代替パーム油の開発に取り掛かったものの、当時は油脂酵母がつくる油脂は食用として使えるかどうか明らかになっていませんでした。また、油脂酵母から抽出できる油はわずかのため、大量に培養する必要があるのですが、食用可能な培養法では十分な油脂が取れないという課題がありました。そこで食品として使用可能な培地、抽出溶媒などを試行錯誤したところ、入社2年目で最適な組み合わせを発見し、高収量の食用油脂をつくることに成功しました。さらにその油脂酵母を使って油揚げ麺を試作・試食したところ、既存の製品と味の遜色がないことが分かりました。このプロセスはとても苦労したこともあり、社内の麺のプロたちに「味、香り、食感も遜色ないね」と評価いただいたときは、本当に嬉しかったことを覚えています。2022年には学会やプレスリリースなどで対外的な発表を行い、日本農芸化学会の賞をいただいたことも、大きな励みになりました。
最近では、サブテーマのペプチドプロジェクトや大学院博士課程の研究からヒントを得て、微生物界では非常識的な手法で培養してみたところ、油脂の収量をさらに増やすことに成功しました。私は昔から仮説を立てるのが好きで、考えることが先行する”頭でっかち”なタイプなのですが、この経験から無関係に見える物事にも積極的に首をつっこむこと、常識を疑うことの大切さを実感し、「何が起こるか分からないからまずやってみよう」というマインドで積極的に挑戦するようになりました。一つの物事にフォーカスするだけでなく、いろんな側面から物事を捉えられるようになったことも、自分の成長を感じるポイントです。
最近では、サブテーマのペプチドプロジェクトや大学院博士課程の研究からヒントを得て、微生物界では非常識的な手法で培養してみたところ、油脂の収量をさらに増やすことに成功しました。私は昔から仮説を立てるのが好きで、考えることが先行する”頭でっかち”なタイプなのですが、この経験から無関係に見える物事にも積極的に首をつっこむこと、常識を疑うことの大切さを実感し、「何が起こるか分からないからまずやってみよう」というマインドで積極的に挑戦するようになりました。一つの物事にフォーカスするだけでなく、いろんな側面から物事を捉えられるようになったことも、自分の成長を感じるポイントです。
- THEME 04 -
これからの目標

油脂酵母とペプチドを実用化し
世界をリードする研究者を目指す
今後の目標は、工場での生産を想定した「食用代替パーム油」の製造法の確立と実用化です。
昨今、世界中で微生物など生物の力を活用した「バイオものづくり」が注目され、持続可能な資源の調達法として期待されています。こうしたなかで当社が率先して油脂酵母の研究を進め、食品の製造課程で生じる廃棄物を活用したアップサイクルな国産油脂の生産体制を整えることで、日本のバイオものづくりを活性化したい。同時に外部に発信をし、日清食品の基礎研究の存在感を高めるなかで、世界をリードする研究者になりたいと考えています。
日清食品で働くことの魅力は、基礎研究を後押しし、挑戦を応援してくれる環境が整っていることです。一般的な企業の研究所では、開発までのさまざまなステップを分業して効率化していると聞きますが、当研究所には最初から最後まで一連のステップを若手にも任せてもらえる風土があります。またスキルアップのサポート体制も充実しており、多くの社員が博士号の取得に挑戦して学びを研究に生かしています。こうした日々の研究の成果が、世界中の人々の生活に身近な即席麺をはじめとした商品に応用されることも醍醐味の一つ。改めて自分の仕事の影響力の大きさと、責任感を感じています。今後も好奇心を持って挑戦を続け、世界中により良い影響を波及させていくことが目標です。
昨今、世界中で微生物など生物の力を活用した「バイオものづくり」が注目され、持続可能な資源の調達法として期待されています。こうしたなかで当社が率先して油脂酵母の研究を進め、食品の製造課程で生じる廃棄物を活用したアップサイクルな国産油脂の生産体制を整えることで、日本のバイオものづくりを活性化したい。同時に外部に発信をし、日清食品の基礎研究の存在感を高めるなかで、世界をリードする研究者になりたいと考えています。
日清食品で働くことの魅力は、基礎研究を後押しし、挑戦を応援してくれる環境が整っていることです。一般的な企業の研究所では、開発までのさまざまなステップを分業して効率化していると聞きますが、当研究所には最初から最後まで一連のステップを若手にも任せてもらえる風土があります。またスキルアップのサポート体制も充実しており、多くの社員が博士号の取得に挑戦して学びを研究に生かしています。こうした日々の研究の成果が、世界中の人々の生活に身近な即席麺をはじめとした商品に応用されることも醍醐味の一つ。改めて自分の仕事の影響力の大きさと、責任感を感じています。今後も好奇心を持って挑戦を続け、世界中により良い影響を波及させていくことが目標です。
CAREER
オンリーワンの
キャリアを駆け抜ける
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2021年
3月〜(入社2年目)食品加工に使用できる酵母油脂の開発をけん引
酵母由来の油でつくった出前一丁を試食し、味、香り、食感を評価したところ、パーム油で作製した油揚げ麺と遜色がないことを確認。理化学分析でも差異がないことを明らかにした。 -
2021年
4月〜(入社3年目)新潟薬科大学に出向
共同研究先の新潟薬科大学に1年間出向して武者修行。油脂酵母の第一人者に学び、最先端技術を身につける。22年からは同大学の博士課程に入学し、社会人を続けながら博士号取得にチャレンジ。25年3月に博士号取得予定。 -
2024年
4月〜(入社6年目)ペプチドを使ったサブテーマをスタート
当初は「酵母にかける時間が減る」と考えたが、研究で得た現象を酵母研究に応用することでシナジーが生まれ、酵母油脂の収量を増やすことに成功。 -
5年後日清食品の基礎研究を実務面で引っ張っていくトップランナーを目指す。
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10年後油脂酵母やペプチドを実用化させて、世界に広めたい。日本のバイオものづくりを活性化し、国力向上に寄与したい。