日清食品グループ

リセット

資源循環/廃棄物管理

方針

日清食品グループは、製造工程で発生する製品ロスの削減とリサイクルの促進に努めることで、ゼロエミッションを推進します。廃棄物の多くを占める食品残渣は飼料・肥料化し、排水処理施設の改善による汚泥の減量と混合廃棄物のリサイクルにも取り組んでいます。国内の製造工場では、再資源化率99.5%以上を2030年度まで継続達成する目標を掲げています。

製品の製造過程における環境負荷を低減するため、当社グループは「環境に配慮した容器包装設計の基本指針」を設けています。この方針に基づき、廃棄物の発生抑制や再使用、再生資源の利用促進、代替素材の研究・開発を行っています。

また、当社グループでは適切な廃棄物処理を行うため、「産業廃棄物処理マニュアル」を策定し、その遵守を徹底しています。国内の製造工場に対しては、独自の基準に基づいた廃棄物管理状況 (量や種類の特定など) を監査しています。調査結果は国内の製造工場に共有し、廃棄物の処理状況の継続的な改善につなげています。
さらに、製品ロスの削減とリサイクルの促進に向け、従業員を対象とした研修や社内啓発施策を行い、廃棄物削減に対する意識を高めています。

環境に配慮した容器包装設計の基本指針

1. 循環型社会形成のための3Rの推進
  • (1) 廃棄物の発生抑制 (Reduce):容器の軽量化や減容化、包材点数の削減を目指す。
  • (2) 再使用 (Reuse):詰め替え商品の開発を積極的に進める。再使用可能な容器を提案する。
  • (3) 再生資源の利用 (Recycle):リサイクル原料資材の積極的な使用を図る。リサイクル性の高い素材の使用を目指す。
2. 環境への影響
人体や環境に悪影響を及ぼす可能性のある素材は使用しない。環境負荷の少ないバイオマス原料の使用を進める。
3. デザインへの配慮
環境や人に配慮したわかりやすい表示、ユニバーサルデザインに配慮する。
4. 環境への影響評価
原材料から廃棄までの環境負荷を考慮したLCA (ライフサイクルアセスメント) に基づく容器包装の設計に取り組む。

目標

日清食品グループは、資源循環および環境配慮型のプラスチック容器包装の導入に関して、以下のような目標を掲げています。

[2030年度までの目標]
  • 国内工場における生産過程の再資源化率 99.5%以上の維持 ※1
  • 国内における販売・流通段階で発生する廃棄物 50%削減 ※2
  • すべての製品を対象とした環境配慮型容器包装※3 の使用※4
  • 売上高当たりの容器包装に係る石化由来プラスチック総量の20%以上削減※5
  • ※1対象は国内グループ会社
  • ※2対象は販売・流通段階で発生する廃棄物、比較基準は2015年度
  • ※3軽量・減容化、バイオマス化、紙化、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、リサイクル素材など
  • ※4対象は国内・海外グループ会社、比較基準は2018年度
  • ※5対象は日清食品、比較基準は2018年度

容器包装の開発・改良

⽇清⾷品グループは、「環境に配慮した容器包装設計の基本指針」のもと、容器の減量化と減容化、ならびに環境負荷の少ない包装の研究・開発を⾏っています。

環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」では、「グリーンな包材で届ける」ことを⽬標に掲げ、環境配慮型の容器包装に関する数値⽬標を設定しました。⽬標の達成に向けて、当社グループが持つ代替素材技術を⽣かし、有限資源の効率的な利⽤を推進しています。また、容器包装に関する研究・開発を加速させることで、再⽣可能エネルギーの普及や容器リサイクルを推進しています。

⽇清⾷品ホールディングスは、プラスチック製品の持続可能な使⽤や代替素材開発に取り組む官⺠連携組織CLOMA (Clean Ocean Material Alliance) に2019年1⽉より幹事企業として参画しています。2022年からは、CLOMAの廃棄物削減を目的としたワーキンググループに参画し、プラスチック容器の大規模回収の実証実験に参加しています。また、ワーキンググループ活動の一環として、兵庫県神戸市と乳酸菌飲料容器回収・再資源化プロジェクトの連携協定を2023年に締結しました。「資源回収ステーション」で回収されたポリスチレン素材の乳酸菌飲料容器をマテリアルリサイクル加工・製品化の技術実証で活用しているほか、使用済みポリスチレンの回収方法の確立や再資源化に向けた取り組みを進めています。

プラスチック削減の取り組み

日清食品では、「カップヌードル」で採用してきたプラスチック製の”フタ止めシール”を2021年6月に廃止し、シールがなくてもしっかりとフタを止められるよう、開け口を2つにした新形状の”Wタブ”に切り替えました。これにより、プラスチック原料の使用量を合計で41トン※削減しました。また、小容量の麺と具材をセットにした「お椀で食べるカップヌードル」「お椀で食べるチキンラーメン」を2017年から販売しています。家庭にあるお椀を利用し、お湯を注ぐだけで「カップヌードル」や「チキンラーメン」の味わいを楽しむことができ、喫食後の家庭ゴミの削減につながります。現在、「お椀で食べるシリーズ」は「カップヌードル」「チキンラーメン」「日清のどん兵衛」で計7品を展開しています。

  • 「カップヌードル」レギュラーサイズ、ビッグサイズで使用している“フタ止めシール”の重さの合計

日清食品冷凍では、ほぼすべての麺製品 (一部のプライベートブランド品を除く) でプラスチックのトレーを廃止しました。さらに、パスタや焼そば製品については、ソースを麺の上に直接充填して急速凍結することで液体パックを廃止し、プラスチック原料の使用量を削減しています。

日清食品チルドでは、環境に配慮した製品を提案する「おいしいeco麺」プロジェクトを2020年9月に開始しました。「賞味期限延長」「エコ包装」「エコ調理」の3つに取り組み、対象製品のパッケージには取り組みの内容を記載した「おいしいeco麺」マークを入れています。

「エコ包装」に関する取り組みでは、「中華風涼麺」「日清のあんかけラーメン」でプラスチックトレーを廃止し、日清食品チルドが1年間で使用するプラスチックトレーの約40%を削減しました。

ぼんちでは、「ecoパッケージ」への切り替えを進め、プラスチックトレーを廃止しました。「ecoパッケージ」の導入は、喫食後の家庭ゴミの排出量削減につながっています。

2023年度に実施したプラスチック使用量の削減事例

年間の使用量削減効果 (t)

プラスチック
日清食品 「カップヌードル ビッグ」のフタ止めシールを廃止 8.1
日清食品チルド 「涼麺シリーズ」プラスチックトレーを廃止 8
日清シスコ 「ごろグラ」、「シスコーン」パッケージ見直し 13.4
明星食品 「中華三昧」個食フィルムの見直し 4

「ECOカップ」の使用

日清食品グループでは、再生資源である紙を主原料とする「ECOカップ」の導入を拡大しています。日清食品が「カップヌードル」に「ECOカップ」の使用を2008年から開始したことを皮切りに、海外の事業会社でも、2009年に中国地域、2015年に米州地域、2016年にアジア地域と導入を拡大しており、紙製容器の使用率を高めています。

さらに、日清食品の「カップヌードル」の容器を、2019年12月から環境負荷がより低い「バイオマスECOカップ」に切り替えました。
「バイオマスECOカップ」は、使用している石化由来のプラスチックの一部を植物由来のバイオマスプラスチックに置き換えることで、バイオマス度を81%に引き上げた容器です。「ECOカップ」に比べて1カップあたりの石化由来プラスチック使用量をほぼ半減し、ライフサイクル全体で排出するCO2量を約16%削減しています。

“海洋プラスチック”を素材の一部に活用したパレットの導入

日清食品では、海辺などに廃棄されたプラスチックごみをリサイクルしたプラスチックパレットを2021年11月から導入しています。
海へ流れ出る前に海辺などで回収されたプラスチックごみは、不純物を多く含み劣化していることから、リサイクルして再利用することが非常に難しく、そのほとんどが地中に埋められていました。しかし、日清食品が導入したプラスチックパレットは、海洋プラスチックとリサイクルプラスチック原料を最適な割合で配合することにより、十分な強度を保持しています。
製品の輸送、保管の際に用いる荷役台としては国内企業で初となる取り組みで、日清食品は2030年までにリサイクルしたプラスチックパレットに全数の切り替えを完了する予定です。

ケミカルリサイクル※PSP (発泡スチレンシート) カップ

日清食品ホールディングスは、資源の有効活用と廃棄物削減を目指した容器の開発研究を行っています。2024年2月には、即席麺容器として初めてとなるケミカルリサイクルPSPカップの試作に成功しました。PSPカップ部分にケミカルリサイクル原料を使用することで、資源の有効活用につなげていきます。

  • 回収した使用済みのポリスチレン製品を化学的に分解し、スチレンなどの化学物質に戻すリサイクルプロセスのこと
紙製容器包装の使用率※1
2020年度:62.9%
2021年度:63.4%
2022年度:62.4%
2022年度:62.0%※2
  • ※1容器包装リサイクル法に基づいた、容器包装使用量に占める紙製容器包装使用量の割合。日清食品、日清チルド、日清食品冷凍が対象
  • ※22023年度の総重量は72,798トン

梱包使用量の削減

日清食品グループでは、梱包材にリサイクル可能な段ボールを使用するとともに、製品にあわせて段ボールのサイズを調整することで、梱包材の使用量を削減しています。加えて、製品を天地交互に詰めて梱包する「オポジット方式」を採用することで、従来と変わらない数の製品を梱包しながら、段ボールのサイズを小さくしています。
また、FSC®認証紙※を使用した段ボールを採用し、限りある森林資源の有効活用につながる調達を推進しています。

  • Forest Stewardship Council®の略 (森林管理協議会)。森林の適切な管理と持続可能な森林資源の利用と保全を図る制度

2023年度に実施した段ボール使用量の削減事例

年間の使用量削減効果 (t)

段ボール
日清シスコ 「ごろグラ」「ココナッツサブレ」「チョコフレーク」段ボールサイズの見直し 26.9

食品ロス低減

日清食品チルドは、独自技術「おいしさ長持ち製法」によって製品の賞味期限を延長し、食品ロス削減に取り組んでいます。

「生めんおいしさ長持ち製法」(特許出願中)

生麺ならではの風味としなやかなコシを維持しながら、賞味期限を従来品の「20日間」から「60日間」または「70日間」に延長。

「蒸しめんおいしさ長持ち製法」(特許出願中)

もっちりとした食感と調理時のほぐれやすさを損なうことなく、賞味期限を従来品の「15日間」または「20日間」から「27日間」に延長。

「生めん常温長持ち製法」(特許出願中)

生麺ならではの小麦の風味とコシを維持しながら、常温保存で一般的なチルドタイプの生麺よりも長い「50日間」の賞味期限を実現。

2014年 日清食品、明星食品 ・カップ麺:5カ月→6カ月
・袋麺:6カ月→8カ月
2019年 ぼんち ・「ぼんち揚」「ピーナツあげ」「綱揚あられ」「ポンスケ」: 150日→180日
・「味かるた」「辛子明太子大型揚せん」: 120日→150日 ※一部の例外品を除く
2020年 タイ日清 ・10バーツ価格帯の袋麺: 6カ月→8カ月
日清食品チルド ・生麺製品: 20日→40日
・蒸し麺製品: 15日、20日→27日
2023年 日清食品チルド ・「行列のできる店のラーメン」: 40日→60日
・「麺の達人 生ラーメン」: 50日→70日
日清ヨーク 「ピルクル400シリーズ」「ピルクルミラクルケア65ml×8」「十勝飲むヨーグルトシリーズ」「毎日のむ血圧ケアヨーグルト」「ひざアクティブピルクル風味65ml×6」「りんご乳酸菌900g」: 18日→21日
「ピルクルミラクルケア195ml」: 25日→28日

なお、当社グループでは、販売・流通領域における廃棄物削減の一環として、賞味期限が迫った製品などはフードバンクへ寄贈しています。

製品の寄贈

大気汚染防止

大気汚染物質への対応

日清食品グループの各製造工場では、大気汚染の原因となるSOx (硫黄酸化物) やNOx (窒素酸化物)、水質汚濁の指標となるBOD (生物化学的酸素要求量) やCOD (化学的酸素要求量) について、法令や条例よりも厳しい自主基準値を定め、その数値をもとに汚染の状況を監視しています。また、設備の破損により環境汚染物質が工場周辺に流出した場合に備えて「緊急事態対応手順書」を策定し、緊急事態を想定した訓練を定期的に実施しています。

フロンへの対応

当社グループでは、2015年4月に施行された「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法)」に基づき、法令を遵守した適正な処理を行っています。日清食品の直轄工場※では、フロンを空調設備や冷却機器などの冷媒として使用していますが、フロンの漏洩を防止するための簡易点検を四半期に1回、外部の専門機関による定期点検を3年に1回実施しています。

また、日清食品の静岡工場や日清エフ・ディ食品、埼玉日清食品では、冷凍機や冷蔵機を更新する際に自然冷媒 (アンモニアとCO2) を使用した機器を導入しています。

  • 対象:日清食品 直轄工場 (関東工場、静岡工場、関西工場、滋賀工場、下関工場)

その他の取り組み

エコ調理

調理時に必要な水の使用量を減らしたり、お湯を沸かす際のCO2排出量を低減したりするなど、環境に配慮した調理方法を推進しています。例えば、独自の技術である「湯切りなし調理」を採用している「日清のラーメン屋さん」「フライパンひとつで」は、麺をゆでるために使う水の量が少ないうえに、スープのためのお湯を別に準備する必要もありません。湯切りの必要な製品と比べると、水の使用量が約3分の1に減少し、お湯を沸かす際に発生するCO2排出量も低減できます。
また、たれやつゆをかけるだけで食べられる「日清のそのまんま麺」など、調理時の水使用量やCO2排出量が少ない製品も販売しています。
また、日清食品が販売する「冷凍 完全メシ カップヌードル 謎肉炒飯」は、袋のままレンジで調理し、お皿を使用することなく食べられる包装容器を採用しています。皿洗いの必要がなくなることで、水使用量の削減につながっています。

廃棄物の適正処理

日清食品グループでは、「産業廃棄物処理マニュアル」を策定し、遵守を徹底しています。業者と委託契約を締結するにあたっては、独自のチェック表を用いて契約前および契約中の年1回、委託先の実地確認を行い、評価することなどを明文化するとともに、委託契約書の内容を日清食品ホールディングスの法務部またはサステナビリティ推進部が契約内容を事前確認します。
また、廃棄物の種類や排出量などの情報は、サステナビリティ推進部が適正に管理しています。

容器包装の再製品化

容器包装を利用している企業は、容器包装リサイクル法により容器包装の「再製品化義務」が課せられています。日清食品、明星食品、日清チルド、日清食品冷凍、日清シスコ、日清ヨーク、ぼんちは、容器包装の再製品化を公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に委託し、製造・販売した製品の重量に応じて、紙製容器包装とプラスチック製容器包装の再製品化実施委託料を支払っています。市町村が家庭から分別収集する容器包装ごみ (資源物) は、同協会に委託された事業者を通じて再生原料にリサイクルされ、パレット、擬木、ベンチや古紙再生ボードなどに生まれ変わっています。

関連データ

廃棄物

食品廃棄物

  • 食品廃棄物量は、物流倉庫から廃棄される廃棄物 (主に食品廃棄物) を含まない

容リ法プラスチック、紙製容器包装排出量と委託費推移 (2017~2023年度)

  • 日清食品、日清食品チルド、日清食品冷凍が対象

プラスチック使用量と再資源化

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
プラスチック使用量※1 (千t) 16.9 16.5 17.3 16.7 16.1
リサイクル可能なプラスチック包装の割合※2 46% 47% 46% 47% 47%
堆肥化可能なプラスチック包装の割合 0% 0% 0% 0% 0%
プラスチック包装内のリサイクル素材の割合 0% 0% 0% 0% 0%
  • ※1日清食品が製品の容器包装に使用しているプラスチック量
  • ※2日清食品が製品の容器包装に使用しているものマテリアル (単一素材で構成された) 包材のプラスチックの割合

第三者保証

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