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「EARTH FOOD CREATOR」として常に新しい食文化を創造し続け社会課題の解決と持続的成長を実現する

日清食品ホールディングス株式会社
代表取締役社長・CEO

安藤 宏基

「食足世平」は変わることのない原点

「食がなければ、衣も住も、芸術も文化もあったものではない。食は人間の命を支える一番大切なものだ」

戦後の食糧難で苦しむ人々を目にして、日清食品の創業者である安藤百福はこう考えました。それが世界初のインスタントラーメンの開発を志すきっかけとなり、「チキンラーメン」の誕生へとつながっていきました。食が足りてこそ世の中が平和になる。創業者精神の一つである「食足世平」は、私たちの変わることのない原点です。

1958年の創業以来、日清食品グループは人や社会の役に立つことは何かを考え続け、人々の食を満たすことで世の中に貢献してきました。社会課題を解決することで持続的な成長を果たしてきた歴史があり、それは今でいうCSV経営そのものです。グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」には、「生物の根本である食を創り、世の為につくす」という創業者の思いを込めています。

今向き合う社会課題は「Planetary Health」と「Human Well-being」

戦後の日本では飢餓が重大な課題でしたが、現代の社会課題は多岐にわたります。地球全体まで見渡せば枚挙にいとまがないほどです。そのなかで、当社グループは今、優先的に取り組むべき社会課題として2つのテーマを掲げています。「Planetary Health」と「Human Well-being」です。

「Planetary Health」とは、地球環境との共生に向けた取り組みを指します。地球温暖化をはじめとする環境問題はいうまでもなく世界的な課題であり、気候変動による作物生産量の減少や食料供給の不安定化が懸念されています。また、限りある地球資源が乱用されることで社会基盤や経済状況が悪化するような事態を防がなければなりません。

「Human Well-being」は、人々の幸福感を高める取り組みを指します。日清食品と公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団は、米国の世論調査会社であるギャラップの協力のもと、食とウェルビーイングの間には強い関係性があることを世界で初めて立証しました。食が人々の幸せを実現する重要な要素であることが明らかになったのです。一方、飢餓や貧困による低栄養が世界の根強い課題である半面、現代は飽食の時代でもあります。オーバーカロリーによる肥満や、間違ったダイエット方法による「隠れ栄養失調」といった新たな問題も起きています。2021年に開催された「東京栄養サミット2021」では、各国政府、国際機関、企業、市民団体などのリーダーが集い、活発な議論が交わされました。このように、健康と栄養に関わる諸問題は世界的に注目を集めるテーマです。

「食」の分野で培ってきたテクノロジー、フードテックが課題解決の原動力に

なぜ当社グループが「Planetary Health」と「Human Well-being」に挑むのか。これらの課題解決は極めて困難ですが、私たちならできると考えています。当社グループには、「食」の分野で培ってきたテクノロジー、すなわちフードテックの強みがあるからです。

「Planetary Health」では、食肉の安定供給や環境負荷低減に向けフードテックを活かしています。すでに多くの取り組みを進めており、その一つがサステナブルな食材として注目される「培養肉」の研究です。2017年8月から東京大学と共同研究を開始し、肉厚なステーキ肉を実現するという前人未到の挑戦を続けています。また、2023年5月には「プラントベースうなぎ」の開発に成功しました。動物由来原料を一切使用せずに、うなぎの蒲焼の食感や見た目、風味を再現しています。国内外を問わず豊かな食文化を守るため、持続可能な食料システムの構築に貢献することを目指しています。

「Human Well-being」では、健康と栄養の問題に正面から向き合うべく、「最適化栄養食」の事業を推進しています。2022年には、33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」を発売しました。即席めん事業で培った加工技術やうまみ素材などを駆使することで、栄養素が持つ独特のエグみや苦みを感じさせず、普段の食事と変わらないおいしさを実現することに成功しました。創業者精神の一つである「美健賢食(美しく健康な身体は賢い食生活から)」を体現する事業であり、現代の食生活における社会課題を解決することで、食によるウェルビーイング向上を実現していきます。

「成長一路、頂点なし」常に高みを目指す

これらの取り組みを通じて社会価値を創造することは、同時に経済価値をも生み出すと私は信じています。持続可能な社会形成の一助となることが、当社グループの持続的成長にもつながっていくのです。

足元の業績は好調で、2023年度の決算を振り返ると、売上収益は7,329億円(前期比9.5%増)、既存事業コア営業利益は806億円(同33.9%増)と、いずれも過去最高を更新しました。既存事業コア営業利益800億円は中長期成長戦略で掲げた2030年度までの目標水準であり、2021年度から10年かかると想定していた計画を3年間で達成したことになります。

このように、当社グループはこの数年間で目覚ましい成長を実現していますが、ここで満足すれば成長の歩みは止まってしまいます。創業者は「成長一路、頂点なし」の言葉を掲げ、一つの目標を達成するとすぐに次の高みを目指しました。私たちも従来の目標に手が届きつつあった昨年の時点で、次なるマイルストーンとして「売上収益1兆円、コア営業利益1千億円、時価総額2兆円」を設定しました。

この新たな目標の実現に向けて一歩を踏み出したのが2024年であり、成長力の強化に向けて4つの経営テーマを掲げました。

1つ目は「グローバルビジネスのさらなる飛躍」です。2023年度は海外事業の成長が顕著で、利益合計額に占める海外事業の割合が50%を超えました。しかし世界の市場は大きく、私たちはまだまだ存在感を示しているとは言えません。伸びしろのある市場でグローバルブランディングを一層強化するとともに、生産能力の増強にも力を入れ、各地域でのプレゼンスを高めていきます。

2つ目は「完全メシを中心とする新規事業の推進」です。「完全メシ」ブランドの定着と拡充を推進し、2024年度は70億円、2025年度は100億ブランドへと成長させることが当面の目標です。また、パッケージ商品だけでなく、小売業や外食業、他分野食品メーカーとの協業によりBtoBtoC事業も拡大しています。その他、保険会社など異業種協業の取り組みも推進し、多彩なタッチポイントを創出することで「栄養最適化テクノロジー」の多面展開を目指しています。

3つ目は「フードテック開発の深耕」です。前述の通り、「Planetary Health」「Human Well-being」の取り組みにおける当社グループの最大の強みがフードテックです。培養肉やプラントベースフード、最適化栄養食といった「未来の食」づくりに挑み続けることで、食の可能性を切り開いていきます。

4つ目は「EARTH FOOD CHALLENGE 2030(以下、EFC2030)の取り組み強化」です。EFC2030は当社グループの環境戦略であり、「Planetary Health」を目指すうえで欠かせない取り組みです。環境問題については、世の中の流れだから、といった受動的な姿勢で向き合うのではまったく意味がありません。当社グループは決して受け身にならず、食品業界の先頭を走る存在になろうと社員にも呼び掛けています。

常にチャレンジャーであり続け新たな食文化を創造する

この3年間で2030年度の目標利益水準を前倒しで達成した結果、将来のさらなる成長を見据えた「キャッシュの戦略的活用」というオプションを手にできたと考えています。創出したキャッシュを、負債の有効活用と併せて成長投資に振り向けるとともに、株主還元の強化にも積極的に活用することで、企業価値の最大化を図っていきます。

2024年5月には、これまで中長期成長戦略のKPIの一つとして掲げていたROEの目標値を「長期的に10%」から「2030年度までを目途に15%」に修正しました。グローバルジャイアントと呼ばれる世界の大手食品企業と比肩する存在にまで飛躍するべく、長期的には20%の水準を視野に入れていきたいと考えています。

当社グループは先駆者であり、リーダーであり、クリエイターであり、挑戦者です。世界初の即席めん「チキンラーメン」、世界初のカップめん「カップヌードル」を発明したパイオニア企業として、即席めん市場のリーディングカンパニーとしての地位を確立してきました。しかし、どれだけトップの地位を固めようとも、守りの姿勢に入ることはありません。常にチャレンジャーであり続ける私たちは、「Planetary Health」「Human Well-being」の取り組みを通じて、これからも新たな食文化を創造していきます。

VALUE REPORT
2024

WHO日清食品グループとは?[3.66KB]

  • グループ理念
  • 社会価値創造History
  • 日清食品グループの今
  • 日清食品グループの6つの資本
  • 日清食品グループのコアとなる強み

HOWどのように目指すのか?[9.79MB]

  • 価値創造プロセス
  • CSOメッセージ
  • CFOメッセージ
  • 成長戦略❶ 既存事業のキャッシュ創出力強化
    • 国内即席めん事業
    • 国内非即席めん事業
    • 海外事業
  • 成長戦略➋ EARTH FOOD CHALLENGE 2030
    • 気候変動問題へのチャレンジ
    • 資源の有効活用へのチャレンジ
  • 成長戦略❸ 新規事業の推進
    • 最適化栄養食のタッチポイント創出・拡大
    • 最適化栄養食の新たな価値創造
  • CHROインタビュー
  • 人的資本の強化
  • IRイベントレポート
  • コーポレートガバナンス
  • 取締役・監査役

データ  [1.63MB]

  • 財務サマリー
  • 非財務サマリー/主な外部評価
  • 即席めんの世界市場データ
  • 会社情報・株式情報
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